紙垂について

2002/03/11改訂


  ◎神道事典(國學院大學日本文化研究所編 平成六年刊)より  

   紙垂

幣帛の一種で、榊の枝や串などに垂らす紙片や布(とくに木綿{ユウ})など。
また注連縄につけたものもこう呼ぶ。単に垂、また四手とも表記する。
古くは木綿を用いたが、現在は紙片が一般的である。
紙片の断ち型と折り方には、二垂、四垂、八垂などいくつかの形式、さらに流派がある。
代表的な流派としては、伊勢流、白川流、吉田流、がある。
今日では祓具の一部となることが多いが、そのほか、これを注連縄に垂らして神域や祭場などに用いた場合は、聖域を示す象徴となる。
相撲の横綱は土俵入りの際、紙垂のついた注連縄を化粧まわしの上につける。(井上順孝)

紙垂の作り方


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 Q&Aの[紙垂]を入力し参照して下さい。

2 紙垂(しで)の作り方について教えてください

かつては麻(あさ)で穢(けがれ)を祓い清めていたようですが、 のちに楮(こうぞ:クワ科の落葉低木。
樹皮の繊維は日本紙の原料となる)から作った木綿(ゆう:楮から採った糸)や和紙(楮から作った紙)を用いるようになって、 後世になると、この紙を榊の枝に付けて清浄の証としたようです。
この紙が、今では「紙垂」といわれるもので、 素材としては奉書・美濃紙・半紙を用い、垂れる数によって二垂・三垂・四垂・・・などがあります。
古式には白川流・吉田流があり、またそれぞれの神社でも裁ち方や折り方に伝統があるものです。
いずれにしても白衣を着用して身を清め、心を落ちつけて紙垂を作り上げます。 玉串(たまぐし)や注連縄(しめなわ)などには、多くは四垂が用いられます。
紙垂を注連縄にはさみ込むときは、紙垂の頭部分を小さく二つくらいに折り曲げて、 縄目に等間隔にはさみ込むようにします。






〆の子のいろいろ


〆の子は注連縄に紙垂と共に付ける藁で作られた飾りである。
藁を2,3本垂らした簡素なものが普通で、もっとも一般的な標準であるが、
各地の神社には様々な形態がある。以下に〆の子の特徴あるものを紹介する。

 
 
参考
朝鮮では、子供が産まれると門口に左綯いの縄を張り、悪霊・邪気の来入を防ぐ。
そして男子出生の時は木炭と唐芥子、女子の場合は木炭と松枝を垂らす。
日本と朝鮮との結びつきに、共通するものが感ぜられる。
      
地鎮祭





最も簡単な一般な注連縄。20〜60cm間隔に藁2〜5本を垂らし、紙垂を60〜90cm毎につける。

板締め

垂らした藁は隙間なくギッシリ詰まる。
全国各地で見られるが、福岡市水鏡神社・久留米市水天宮など九州北部に多い。
七五三

七五三縄と書いてシメナワと読む事がある。
写真の様に〆の子を七,五,三本と垂らすのが原型とも言われる。現在は余り見られない
熊野那智神社 鳥居
上部を丸く括り照る照る坊主の如き。
各地に数多く見られる。 
鶴岡八幡宮 大銀杏
左図と類型。


源実朝を殺めるため公暁が隠れていた大銀杏に巻かれている注連縄。  
大雄山最乗寺 本堂

寺院にも注連縄を張るところがある。

総社神社 総社市

上部右綯い。紫の紙を巻き、紅白の水引を付ける。
甲斐一宮浅間神社

上部三つ編み。下部の形も独特。
佐太神社 松江市

2連の〆の子の例
出雲大社 拝殿
  
日本一と称される注連縄の〆の子。
出雲・松江市近辺に同型のもの多数あり。
秋葉神社 拝殿   
大きさは出雲大社に匹敵する。
丹念に造られ端正。
秋葉神社 社務所
  

上部、穂先を大きく拡げる特殊な例。

宗像大社   
上部左右対称の綯い。下部を大きく拡げる。
住吉大社
 
双房が下がり上部を綯う 
共に左綯い
平安神宮

双房が下がり上部を綯う。
左右対称の綯い方
御宝殿熊野神社 いわき市
   
上部を左綯いにし、先が細くなっている。
諏訪大社 上社 神門
   
上部を左綯いにし、太い。
大神神社 標柱 櫻井市    
長さ1メートル近くもあろうか。のびやかに大らかである。
狭井神社・檜原神社など同型。


〆の子の尾を飾り結びにしたものがたまにあるので参考までに紹介する。  
枚岡神社 東大阪市
鶴羽根神社 広島市
北島国造館 出雲
豊受神社 青森県 田舎館村

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