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伊能図入門 渡辺一郎

図録「忠敬と伊能図」 伊能忠敬研究会編より

伊能図とは、伊能測量隊が作成した日本図は伊能図と言われる手書き地図である。

大、中、小図の三種類がある。
大図は、1里=3寸6分 縮尺1/36、000
中図は、1里=6分 縮尺1/216、000
小図は、1里=3分 縮尺1/432、000である。

10回におよんだ伊能測量では、第三次測量をのぞいては、そのつど測量地域の地図を作成しており、 そのほかに測量に関係なく作られた図もあった。
縮尺の小さい特別小図1/864、000、名勝地を描いた特別地域図、伊豆諸島の特別大図、江戸府内図などを含めると、 知られているだけで作成された伊能図は440種に達する。
幕府に提出された正本はすべて失われているが、伊能家にあった控え図とか、諸侯の求めに応じて丁寧に仕上げて献呈した図はある程度残っている。
又、江戸期において、正本または副本から写本も制作された。
明治にはいってからも、利用または保存を目的に写図が行われている。
伊能グループでは制作に当たって、同時に複数枚を正確に写す方法として、測量下図の測線を針で突いて地図紙に写した。したがって、伊能グループの作成した図には針穴が残っている。
正本が残っている可能性はほとんどないが、副本、写本、模写本により、現存を確認している伊能図の種類は223種である。(1998/3現在)


伊能図の区分

1 正本  幕府に提出されたもの(天文方への提出図を含む)。
2 副本  針穴があり、伊能グループの製作が(忠敬の死後を含む)であることが確かで、完成度が伊能記念館の伊能諸図と同等以上のもの。
3 複製本 針穴があって、伊能グループの製作が明らかながら、未完成または、完成度が伊能記念館の伊能図よりも低いもの。
4 写本  江戸期に副本を写したもの。
5 模写本 明治以降、原型保存または利用目的で手書きで写されたもの。



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